**北海道の旅・番外編**
今年の北海道の旅は、作家として原点に還りたいという気持ちで北の地へ向かいました。
新得のぼんくら展に行くという目的のほかに、
私が育った街、「室蘭に行きたい」という気持ちが強くありました。
子供のころの純粋なまっすぐな心でうけとめたあのやさしい風景、あの時感じた空気。
それが「作品」というカタチになっていた。しかしそれは15年前の景色のまま、
「止まっている時間」。

それが、今現在の私が向き合うことによってどのように変わっていくのかということに
とても興味がありました。今、この目でしっかりとたしかめたい。
過去の自分を、現実のまなざしでしっかりと見つめなおしたい。
今までは過去の記憶の中にあるカタチを表現してきましたが改めて見直すことによって
自分の中で何かが変わるかもしれない。過去の記憶を見直すことによってそれは現実になる。
私の中の表現したいという心はかわらず動き出すのか。
それともまったく違う形で生まれてくるのか。
そう考えているうちに、私は過去の自分に会いに行きたいと思いました。

出来上がった作品のカタチは日々変化するし、自分では予測できないような変化が
現代美術だと思っていました。しかし、最近は何かが違うような気がしてなりませんでした。
私の中の時間が動き出すことによって、私の中の「作りたい」という気持ちと
本当の意味の現代美術を理解できるような気がします。